2024年1月14日日曜日

食品安全 トレーサビリティ


 本書『食品トレーサビリティの基本』は、世界銀行グループのウクライナ投資環境改革プロジェクトが、スイス開発庁(SECO)を通じたスイス連邦の財政支援を受けて作成した。

このガイドは、食品産業におけるトレーサビリティ・システムの概念と主な構成要素を示している。国際的に確立された、また欧州連合(EU)の法律内で確立された、トレーサビリティに関する主な要件を列挙している。ウクライナが国家レベルで食品トレーサビリティ・システムを導入した経験も含まれている。

本書は、食品安全問題を担当する企業や政府当局にとって有益である。本書は、食品産業におけるトレーサビリティ・システムの迅速かつ広範な導入を促進することを目的としている。

本ガイドの作成にあたり、著者らは国際的な情報源と国内的な情報源の両方から情報を収集した。彼らは、トレーサビリティ問題が国際法およびウクライナの法律でどのように扱われているかを調べ、EU、中国、米国、日本、およびオーストラリアにおけるトレーサビリティ・システム導入の経験を分析した。すべての情報源は、ガイドの中で参照されている。

本ガイドブックは、世界銀行グループのウクライナ投資環境改革プロジェクトの専門家であるZhanna PastovenskaとKateryna Onulによって編集された。

本書の作成とレビューに貴重な意見を寄せてくれた国際金融公社(IFC)のVictoria TetyoraとEugen Osmochescuに心から感謝する。

本書はもともとウクライナ向けに作成された。アフリカにおけるボヴィマIFC MASアドバイザリー・プロジェクトの再依頼により、ウクライナ語から翻訳された。本書の著者は、この英訳を可能にし、資金を提供してくれたフレッド・ザケ(シニア・プライベート・セクター・スペシャリスト)とリサ・ケストナー(アフリカ・アドバイザリー・サービス・プラクティス・マネージャー)に感謝したい。

 はじめに

今日、トレーサビリティ・システムの必要性は、食品安全改革を実施する各国の官民両セクターにおける議論の焦点となっている。第二に、EU、米国、カナダ、日本などの先進国・地域の食品事業者の経験が、健全なトレーサビリティ・システムが事業者と消費者の双方を保護する信頼できるツールであることを証明している。

食品安全改革を実施している国の食品事業者の中には、強制的なトレーサビリティ・システムをまた新たな規制の重荷とみなす者もいるが、そうではない。このような誤った認識は、トレーサビリティ・システムがどのようなもので、ビジネスにどのような利益をもたらすかについて、容易に入手できる情報が不足していることに起因しているのかもしれない。国によっては、トレーサビリティ・システムの導入に消極的な食品産業企業もあるが、その背景には、トレーサビリティ・システムはコストがかかりすぎるという根拠のない思い込みがある。

本書は、食品産業におけるトレーサビリティ・システムの概念を説明し、その主な構成要素について論じている。本書には、国際的に確立され、欧州の法律で定められているトレーサビリティの主要要件のリストが含まれている。また、ウクライナの事例を用いて、国家レベルでの食品トレーサビリティの実施を説明している。


Tn EUの一般食品法は2002年に施行され、すべての食品・飼料事業者にトレーサビリティを義務付けている。この法律は、すべての食品・飼料事業者に特別なトレーサビリティ・システムの導入を義務づけている。トレーサビリティ・システムは、製品がどこから来てどこへ行くのかを特定し、その情報を管轄当局に迅速に提供できなければならない。

EUはガイドラインを公表しており(欧州委員会のウェブサイトで入手可能)、事業者はその都度、供給者と顧客の名前と住所、製品の性質と納品日を記録するよう求めている。事業者はまた、製品の量や数量、バッチ番号がある場合はその番号、生か加工品かなどの製品の詳細な説明に関する情報を保管することが奨励されている。

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