品質文化を監査するための基準
ISO 10010:2022の登場 ― 「文化」というOS
ISO 10010:2022は、組織の品質文化を、企業がいかにして価値を創出・提供するかを決定づける「共有された価値観、信念、倫理観、姿勢、そして実際に観察される行動」であると定義しています。スケジュールの逼迫と品質維持の要求が対立した際、最終的な結果を左右するのは、固定的なSOP(標準作業手順書)ではなく、組織内に浸透している行動規範なのです。
ISO 9001:2026の附属書Aでは、品質文化の解釈および監査を行う際の技術的基準として、ISO 10010:2022が明示的に引用されています。
2026年版の主な変更点
現在ISO 9001:2015を運用されている組織にとって朗報なのは、2026年版が既存の知識や仕組みを基盤としている点です。新たな大規模な要求事項を導入するのではなく、既存の要求事項を明確化し、重要な概念を強化するとともに、規格の理解と適用をより容易にすることを目指しています。
主な改訂内容は以下の通りです。
• リーダーシップ、品質文化、および倫理的な行動へのさらなる重点化
• リスクと機会の区別の明確化
• 他のISOマネジメントシステム規格との整合性の強化
• 要求事項の意図や一般的に使用される用語を解説する新たな「附属書A」の追加
• 規格全体を通じた、より簡潔で明確な表現への変更
多くの組織において、QMS(品質マネジメントシステム)を大幅に変更する必要はないでしょう。しかし、改訂された要求事項に対して現在のシステムがどのように対応しているかを見直す必要があります。特に、品質文化や倫理的な行動の促進におけるリーダーシップの役割、変更管理、そしてリスクと機会の区別といった点については確認が求められます。

