本書は、ISO 9001品質マネジメントシステム(QMS)の構築・運用を網羅する実務ガイドです。プロセスアプローチに基づく文書化やマネジメント・サポート・運用の各プロセス、リスク対応策に加え、ERPソフトウェアへのQMS統合手法やインドの古典『ティルックラル』を応用した計画策定などを詳述し、持続的な業務成長を支援します。
リーダーはしばしば、品質マネジメントシステム(QMS)という概念の扱いに苦慮します。残念ながら、この概念を理解できずに不適切なQMSモデルを導入し、その結果、本来の役割を十分に果たせなくなってしまうケースが見受けられます。さらに重大かつ影響が大きいのは、不適切に設計・運用されたQMSモデルが、顧客を含む組織のステークホルダー(利害関係者)にもたらす悪影響です。
リーダーがQMSに苦慮する理由には、いくつかの要因が挙げられます。第一に、組織のガバナンス・モデルが機能していないこと。第二に、QMSモデルそのものに重要な要素が欠けており、実効性がないこと。第三に、リーダー自身がデータを理解していないことです。リーダーがランチャート(推移図)や管理図といった基本的なツールを使わず、成果が向上しているのか、あるいはプロセスが管理状態にあるのか(あるいは逸脱しているのか)を判断しないと、「データの見え方(データの示す現象)」と「実態」との間に乖離が生じます。
つまり、認識が必ずしも現実を反映しているとは限らないのです。適切に測定していない事柄について、リーダーは実態を把握できません。ある場合には、本来行うべきではない変更をリーダーが加えたことで、QMSが(見かけ上)有効に機能してしまうことがあります。また別の場合には、QMSが制御不能な状態に陥っているにもかかわらずリーダーがそれに気づかず、危機的状況が生じても適切な対応をとれないこともあります
その結果、本来であればQMS(品質マネジメントシステム)をうまく活用して乗りこなすべき「業務上の波」に飲み込まれ、リーダーたちは押しつぶされてしまうのです。
現代において、変化は「新たな日常(ニューノーマル)」であり、唯一不変のものです。医療など多くの業界では、
業界の根幹そのものが、歴史上かつてないほど大きく揺らいでいます。
変化が拡大すれば、それに伴うリスクや混乱も増大します。強固な基盤を持たないまま、
リーダーや組織は、こうしたハイリスクな環境で成功を収めることができるでしょうか?
答えは「ノー」です。成功への出発点はQMSにあります。
結局のところ、リーダーや組織の成否は、どのような成果を達成できたかによって決まります。
有能なリーダーとは、リスクを理解し、先を見越した計画を立て、問題を解決し、リスクを低減させ、
成果を維持・継続させる人々のことです。彼らは、明確に定義され機能するQMSモデルを通じて、
ハイリスクな環境下で組織の成果を変革していきます。一方、そうでないリーダーたちは、
次なるケーススタディやビジネス書の「反面教師」として取り上げられることになるでしょう。

0 件のコメント:
コメントを投稿